稔は安堵したような表情を見せると、再度あたしの背中に手を回して後ろで結んでいる。
そして、あたしの耳元でこう呟いた。
『…今から、大事な話すっから落ち着いて聞いてくれ』
…どんな話かは考えなくとも見当がついている。
「…わかった。話して」
あたしの言葉に稔は頷くとゆっくりと、口を動かした。
『俺、さ…死ぬ間際に浮かんだのがお前だったんだ』
淡々と話す稔。稔はあたしに顔を見せたくないのかあたしの肩に顔をうずめている。
頭を撫でるように、手を動かしながら稔の言葉に耳を傾けた。
『…親でもダチでもなく…詩歌だった』
その言葉がどうしようもなく嬉しい。他の誰でもなくあたし…そんな事実に胸が温かくなる。


