『待てって!!』
足早に歩くあたしに伴うように、稔も速度を速めて…浮いてきた。
浮いてくる稔のスピードに叶うはずなんかなく、稔はあっという間にあたしの前に姿を現す。
『詩歌、なに拗ねてんだよ?』
「な…っ、す、拗ねてなんかないしッ!」
拗ねてんじゃんなんて言いながら、稔はあたしの頬をつつく仕草をみせていた。
あたしはその手を払う動作を見せると、稔をキッと睨んで深く溜め息をつく。
『溜め息つくと、老けるって言うだろ?』
「…言わないし。溜め息ついたら幸せが逃げるでしょ?」
呆れたようにあたしはそう、突っ込んだ。
『ま、とりあえず、俺が言いたいことは溜め息つくと良いことがないってことだよ!』


