― キ ー ン コ ー ン   

  カ ー ン コ ー ン …



夕暮れに染まる教室が

やけにロマンチックだった。



ふっ と

困ったように広樹が笑う。




つい、私も笑ってしまう

そんな優しい顔。




『 め え る 』




広樹は自分のケータイを指差しながら


口パクで何か伝えようとしていた。



( …メール? )