僕は、自分から好んで、桃井に教わるのが好きだったのだ。

桃井の教え方がうまかったのも、そうだけど…。


桃井はいつでも辛抱強かった。

だからといって、頭ごなしに叱ったりという態度でもなかった。

絶えず、笑みをこぼさず…。

僕が納得するまで、何時間かかろうと、桃井は丁寧に対応してくれた。


嘘だったとしても…。

僕はそれが、嬉しかったんだ。







「一緒にいなくても、大丈夫か?」


「何かあっても、あたし達がいるんだからね!」



屋上へと続く階段の前で、橘とみっちゃんは、不安だからと言って着いてきた。

もちろん、屋上へ行くのは、僕ひとりだけだけど。



「あー…、桃井の野郎…!もしも、俺のフミちゃん傷つけたら、ただじゃおかねぇ」


「橘…、ありがと。でも、何かあっても、僕は大丈夫だから…」