かっと、顔が赤くなるのを感じた。 ――全部、知ってる。 僕が何も言えないくなるのを、戌井ユキは知っていた。 動揺が隠せない僕とは対照的に、戌井ユキは表情ひとつ崩さない。 桃井とよく似ている…。 最悪だ…、本当に、こいつらは。 「じゃ、放課後…、そうだな…。教室じゃ人目につくから、屋上で…いい?」 戌井ユキは、人差し指で上を指さした。 「…好きにしろよ」 「待ってる」 「僕が行かなかったらどうするんだ?」 これは、些細な抵抗だった。 でも、戌井ユキは