僕と君との境界線【BL】

橘は溜息をついて、机に戻っていく。

その後ろ姿は、何ともみすぼらしい。



何をあんなに落ち込む必要があるんだ?

あいつは…アホなのか…?



僕は首を傾げたが、気を取り直して、息を吐いた。


よし…。

3時間以上の睡眠はとった。

これ以上、授業サボってらんないもんな…。



後は――…。




「ねぇ…」



机の中から、教科書を取りだしている時だった。

僕はぽかんと口を開け、「ねぇ」と言った人物を見上げた。



琥珀色の髪の毛に、ベージュのカーディガンを羽織った少女の姿がそこにあった。

それは、僕が予想だにしていなかった人物。

会いたくなかった人物…。




――…戌井ユキが、そこにいた。