決心はした――、はずだった。

桃井に会って、きちんと気持ちを伝える。


なのに…。




「あ、戌井と桃井、発見」



橘の指差した方向に、穏やかに笑う戌井と桃井の姿があった。

どきりと、心臓が跳ね上がり、僕は――…、加速した。



「あ…?ちょっ…フミちゃん!?」



驚く橘を置いて、僕は一気に教室を飛び出した。

こんなはずじゃ…!


と思ってはいても、足は止まらない。


「こらー!誰だ!廊下を走るバカは!」


教師の叫び声にも、僕は振り返ることなく走り続けた。

いや、逃げ続けたと言った方が正しいだろう。