涙は止まらなかった。
でも、2人のぬくもりが――、あたたかい。
あたたかすぎて、止まりかけていた涙が、また速度を増し、量も増してしまう。
涙の水分は、一体何処からきて、無くなったら何処で補われるんだろう。
ていうか―…、こんなに、みっともない姿を人に見られるくらいなら、涙なんて無くなってしまえばいいのに…。
「よしよし…フミちゃん」
「あたしまで、泣いちゃうよ…。フミ君は、いっつも生意気でなくちゃ!」
僕の背中に回された腕は、ぽんぽんと子供をあやすように、規則正しくリズムを打った。
そのうち涙は枯れはて、今度は、情けなくも鼻水が止まらなくなった。
鼻水も…、消えろ…こんちくしょう!
あぁ――、最悪だった。
もう、何もかもが、最低で最悪な。
何がって、僕が桃井を好きになってしまったという事実が。
今、僕の涙によって、証明された事が……。
本当に、最悪だった…。
