「何で、橘とみっちゃんが…僕の家にいるんだ?」
「「だって、心配だったから」」
完全に、声は揃っていた。
何だかんだ言って、この凹凸コンビは、恋人同士なのだ。
僕はガンガンと痛みだす頭をさすりながら、ベッドに腰かけた。
屋上から飛び出した後――、そう、あの後、桃井と戌井は教室には現れなかった。
というよりも、帰ってこなかったと言った方が正しい。
放課後、暗くなった教室で、僕は机にかかったままの桃井の鞄と睨めっこをしていた。
別に、待っていたわけではない。
ただ――…、桃井はいつも、僕と帰っていたから。
桃井が僕を待つことがあっても、僕が桃井を待つことは一度もなかったら…。
今日ぐらいは、待ってやろかと――そう思ったのだ。
