泣こうにも、人目が気になって泣けない…。


そうだ…人目と言えば、誰も見てなかったよな!?



僕はすぐさま身を起こし、きょろきょろと辺りを見回した。


静かな住宅街が、ただただ、冷たい視線で僕を見つめているだけだった――と、締めくくりたかったのだが、スーパーの袋を両手にぶら下げたおばさんが、いつの間にか、僕の背後にたたずんでいた。


見てた…?


見てないって、ていうか、何も言わずに通り過ぎてくれ!



「若いっていいわねぇ」




僕は、少しだけ――…涙が出た。