「うるせぇな…女子…」



ズシリと、肩に回された腕の感触に、僕は急いで舌をひっこめた。


少しばかり筋肉質な胸板には覚えがある。




「橘…苦しい…」


「はっ…、なんでこう、転校生って聞くと…女子はキャーキャー騒ぐかねぇ」



橘と呼ばれた男の言動に、何人かの女子がきっと眉を吊り上げた。


僕はそれに気づかないふりをして、橘の腕を強引に振りほどいた。




「よせよ…怒らせると、後が怖いだろ…」


「どうせ、不細工に決まってる。よし、不細工だ、絶対に、賭けてもいい」