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という決心は実行できなかった。
「そんなに離れて歩かなくても、噛みつかないけど?」
「わかってる」
まだ見知らぬ土地だからという理由で、僕と桃井は揃って下校しなければならなかった。
担任の強引な要求には、断るにも断れないし。
橘は、僕の身の危険を感じたのか、一緒に帰ろうとはしてくれたが、みっちゃんの手によって、阻まれたし。
「あのさぁ…」
「聴こえないから、もう少し近く歩いても?」
僕がいいと言うよりも先に、桃井は僕の隣に歩み寄る。
こうして並ぶだけで、桃井の身長は僕の頭ふたつぶんぐらい抜きんでている。
