「フミちゃんは、俺んだ!」 「違う!」 橘の断言に、僕はすかさず否定の声を荒げた。 そういう、微妙な発言はやめてくれ! いやいや、微妙と言えば…、桃井は今、何て言ったんだっけな。 「桃井?」 「うーん、こういうの何て言うんだっけ?一目惚れ?」 桃井の指が、頬から僕の前髪に絡んでくる。 遊ぶように、くるくると巻きながら。 「桃井君、それって、つまり…」 みっちゃんの震えるような声。 ――つまり、つまり何なんだ? その先、全然知りたくない。