「真帆,着いたぞ」


また電車の中で
寝ちゃったあたしに
優しい隼翔の声が聞こえる。

隼翔の駅で降りて,
この前来た
大輝の家とはほぼ反対の方向に
歩き始めた隼翔に
遅れないようにと思って
ついていった。


「母さんとか居るけど
気にしなくてええから」


隼翔の家へ行く途中で
それだけ言われて,
隼翔はあたしの歩幅に
会わせるようにゆっくりと
歩いてくれた。


駅から歩き始めて
5分くらいたった時,

「こっち」

隼翔に促され
立ち止ると,

あたしの視界に
大きな家が入った。


大輝の家よりも大きくて
普通の家の3倍くらいは
あるような。

確かお父さんはドクタ-って
言ってたから,

隼翔は
もしかしたらかなり
お金持なのかも知れない。