「わざわざ来てくれて
ありがとな…。
でも、1人で
考える時間がほしい」


そう言ってあたしの唇に
そっと触れるだけの
キスをした隼翔。


「わかった。
じゃあまたね」




なんの役にも立ててない
あたし自身に無性に
腹が立った。


静かにドアを開けて
振り返ることもなく
階段を下りた。




あふれだす涙をこらえながら
駅まで歩いた。


その途中。


「あれ、真帆ちゃん?」


声のする方向を見ると
ランニングの途中なのか
ジャージ姿の先輩が
立っていた。