その時は時間がなくて
電話を切った隼翔。



夏休み最後の今日。


3日ぶりに隼翔からの
着信を知らせる
音楽が鳴り響いた。


「真帆…?」


いつもよりトーンが
低い隼翔の声。


「野球のこと?」


「ん~まあ…」


隼翔からあたしに
野球のことを話すなんて
今までになかった。


「ねえ、会えない?」


「は?」


いきなりのあたしの言葉に
電話の向こうの隼翔は
驚きを隠せない様子。


「いいからさ、
今日練習あるの?」


「昼からは休み」


「会いに行ってもいい?」


「わかった」


きっとこれくらいにしないと
隼翔は1人で
何かを抱え込んだまま。

先輩の言葉が胸に響く。

"そばに居てやって"