彼女がやっと来た。
 学級委員で毎朝クラスの誰よりも早く来て仕事をしている由利が、遅刻ギリギリの今に来た。
 この学校でダントツナンバーワン、イケメンな俺の…井上亮人の彼女なのにパーフェクトでいてくれなきゃ困る。

「先生!やっと見つけてきました!!」

 ―なんだ、センコウに頼まれてたのか。俺の彼女をこき使うなよ~…。

「おお、やっと見つかったか。真田、ご苦労。席着いていいぞ。」
「はい。」

 しかも、人捜しかよ。

「みんな、静かにしろ。今日からこのクラスに、新しい仲間が増えるぞ。斉藤、入って来い。」

 …転入生か。ま、美人だったら許すかな。

「はい。」

 ―て、男かよ!

「…うわー。すげーカッコイいじゃん。」
「あたしタイプかも~。」
「つーか、井上よりも超イケメンじゃね?」

 …は、なんで?なんで、俺よりアイツがイケメン?…ふざけんなよ。アイツのどこがイケメンなんだよ!!!

「斉藤、自己紹介しろ。」
「…斉藤深垢耶です。宜しくお願いします。」


「名前も、超カッコイ~い。」
「井上と違って、性格も良さそうだし。」

 俺と、比べんなー!!

「じゃあ斉藤の席は、真田の隣な。」
「分かりました。」

 ―は~?由利の隣って…シャシャッてんじゃねーよ!!!

 俺は、まだ一回も由利の隣に座った事ねーんだぞ!!

 アイツが俺の横を通り過ぎようとした時、俺は足を横に出してシカケた。