―ゲーム、開始。

 先攻は、領。
 警官に領が突っ込む。
 その隙に、俺がカバンを持って走る。
 領も一回転して起き上がり、すぐに逃げる。

 この方法だとすぐに捕まると思っていたのだが、どの警官もあまり鍛えてないみたいで今まで5、6回やった中でまだ一度も捕まって失敗した事は無い。
 警官がちょうどいい、遊び相手になってくれていた。

 でも今日の警官は、素早かった。
 領が警官を倒した時、警官が走る俺に向かって警棒投げてきた。
 見事にそれは俺の足に当たり、俺は横に激しく転倒した。
 一方、領も立ち上がる時に腕を掴まれ手首をひねられた。
 今回の警官は、かなりの運動神経と瞬発力の持ち主のようだ。

「お前ら、喜多中央中学の生徒だろ。」

 観察力も鋭いか。


 ちょっと、厄介だな。
 …とにかく、領を助けるか。

「領!パス!!」

 俺は、領のカバンを警官に思い切り投げつけた。

「亮人、サンキュー!!」

 それは警官に当たり、領は素早く抜け出した。

 俺達は、それから一目散に走り出した。