「僕は…新しい自分に生まれ変わりたいんだ!!!!」

 魔法を守り続けている村の外れで生まれた僕は、魔力が神と等しいぐらいにあると恐れられている両親や兄にと違って、全くの出来損ないだ。
 15歳になった今でも、浮力を操る魔法と、姿を消す魔法、それに僕だけの能力の時を止める魔法しか出来ない。
 一応時の魔法が出来るという事で、時の番人として一目置かれていたからなんとかやってこれたけど、もうそんな自分に嫌気がさしていた。
 そんな時、書庫である村の歴史書にこう書かれていた。『魔法を忘れてしまった人間が、狭間の谷に放り込まれて別の世界に追放された。』僕はその本の影響で、狭間の谷について調べ始めた。
 そしてついに、方法を見つけた。それは『魔法を使える者でも、浮力を最大限に大きくし最高スピードで狭間の谷に突っ込めば、別の世界に行ける。』というものだった。
 僕はすぐにその方法を実行に移そうとした。でもそれはすぐに親にバレてしまった。
 だから僕はああ言って、家を飛び出した。

 ―その後狭間の谷に突っ込んだはずだが、白い光に包まれて進んでいるかどうかも分からない。何も見えない。ただ、ものすごく眩しい。目が痛い…

 そのまま僕は地下深く、落ちていった…