カナリアンソウル

本当は


あたしの方が、ずっとずっと明希の側に居たいって思ってる。


ゆっくり口を動かしてリンゴを食べる明希。


『体調はどう?』


目が合った瞬間、明希は引き出しを開けて急いで中から何かを取り出した。


あのノート。


まだ使ってんだ…


もうボロくなってんじゃん。


「…体調は大丈夫、ちょっと待って!」


彼は真剣な顔でノートをガサガサ捲り始めた。


『そっ。なら良かった』


「思い出した…」


ノートの力か、


リンゴの力か。


「結衣」


『当たり。良く出来ました』


あたしはベッドにいる明希に寄りかかるように、ゆっくり座った。


明希の真っ黒な髪があたしの髪と擦れ合う。


「いつの間にか、真っ黒」


髪のことを言ってるの?


『だね、あんな綺麗だったのに』