健太くんは聡くんの横に来ると聡くんと同じ方向を向いて、ちょこんと廊下に座りこみました。
途端に、眠そうにあくびをしている健太くん。
そんな健太くんを見下ろす聡くんは、なぜか少し寂しそうな顔をしています。
「…気を使ったのか。寝たけりゃ寝ていいんだぞ」
聡くんはそう静かに言うと、自分も健太くんの横に座りました。
健太くんは何も言わずに目の前ををじっと見ています。
「俺が落ち込んでると思ったのか?」
そう聞かれると、健太くんは少し目を伏せてぽつりと言いました。
「…きよちゃんとこうちゃんが一緒にねてるのみて、さとる悲しそうだったから…」
その言葉を聞くと聡くんは、
「わかりきってることだろ…」
と言って深くため息をつきました。それは自分のことを言っているわけではなさそうです。
健太くんは何も言わずに膝を抱えて地面を見ています。
「…わかりきってるけど、難しいな」
その聡くんの小さく呟かれた言葉を聞くと、健太くんは何の表情もない聡くんの顔を少し見て、
「うん…」
とうなずきました。
それから二人はなにも言わずに、ただそこに座ってお空を眺めつづけていました。
-おわり-
