「かわっちゃった」
「じゃあもうよくね?」
ぽつりぽつりと端的に言う浩介くんにさすがの亮くんも少し困り顔です。
サッカーしよーよ、と浩介くんの斜め後ろにくっつくようにして、亮くんも勢いよくしゃがみ込んで浩介くんの肩に顎を乗せました。
亮くんが浩介くんの顔を覗き込むと、浩介くんは亮くんの方をやっと見て、ふにゃっと柔らかく笑うと
「うさぎさんがきょうくんみたいになって、かわいいなあって見てたの」
「なっ…!」
そう言う浩介くんに、まだ顎を浩介くんの肩に乗せたままの亮くんは顔を一瞬で真っ赤にして固まってしまいました。
「きょうくんのくもさんかわいいの」
嬉しそうに言う浩介くんに、まだ亮くんは真っ赤になったまま固まっています。
「おま、お前…」
やがてゆっくり浩介くんから離れると、がっくりと地面にうなだれてしまいました。
「あきらどーしたのお?」
にこにこして浩介くんはききますが、亮くんは
「くそ…なんだこの天使…まじ勝ち目ねえんだけど…くそ…完敗だ…」
わけのわからないことを呟いています。
結局、この日は亮くんも浩介くんもサッカーはしなかったようです。
(てゆーか、雪花に見える雲って、なんだ…?)
後になってやっとそのことに気づいた亮くんでした。
-おわり-