伝えきれない君の声



体を起こそうとすると


「無理しないで。横になったほうがいい。」


耳元でまるで歌うかのように言われ、
体が固まる。



軽々と持ち上げられると、
ベッドへと沈んだ。



窓を見ると、
夕方の何とも言えない紫の光が
空を覆っている。


ぼんやりとした頭と視界で、
見つめた。



それと同時に見えた
同じように窓を見つめる


彼の憂いを帯びた、横顔。



この人は、
何を隠しているんだろう