伝えきれない君の声



――ごめんね…?


私はその言葉の意味が理解出来ず彼の顔を見返した。


それとは逆に、彼は目を反らした。



「…なんで、謝るんです?」


私は眉を寄せ
俯いた彼を見るしかなかった。


何度か瞬きをしたあと、
私とやっと目を合わせた。


何か言おうと、口を開く。


だけど



「…いや、何となく…」


なんて腑に落ちない答えが返ってきた。


「何となく…?」


「あ、お腹空いてない?」


突然の質問に、またまた驚く。


「何か作るよ、俺。」


「えっ、倉田さんが?」


「うん。俺こう見えて料理得意なんだ。食材も買ってきたし。」


いつの間にか床に置かれていた
スーパーの袋をひょいと持ち上げた。