ドアのぶを手にした私に、
「約束…してくれ。」
菅原さんは言う。
「思い切り、あいつに気持ちぶつけてやれ。
あんた…美春は、歌が好きなんだろ?」
溢れ出る、涙。
振り返ろうとした私に、
「振り向くな!…前だけ、見てろ。」
そう、力強く、言う。
「美春…うん。良い名前だ。」
なんて、いつかと同じ言葉。
「…ありがとう…」
震える、声。
伝わったかはわからない。
でも止めることのできない、
彼への感謝の気持ち。
――前だけ、見よう。
ドアを開け、
私は歩きだした。
一歩一歩、菅原さんから離れる。
一歩一歩、倉田瑞季へと、近づく。


