伝えきれない君の声



「順番組むのは俺の勝手だろ?
いいじゃん、真ん中より最後のほうがやる気もわくだろ。」


「そんなこと言われても…」


菅原さんは、悪びれる様子もなくにっこりと笑う。


「…いいんじゃない?
そのほうが審査員の目にもつくし。
もちろん、倉田瑞季にも。」


――ズキン…


胸が疼いた。


そう言うなり、波多野友里は、
斜め上から私を見下げる。


馬鹿にしたようなその視線を、
私は素直に受け取った。


「そんなの関係ありません。
私、別にデビューしたくて来たわけじゃありませんから。」


いつも以上の太い声に、
自分でも驚く。


でもそれ以上に、
波多野友里と、菅原さんが
一瞬固まり、


波多野友里はふと笑みをもらした。



「そう。楽しみだわ。」