しらたまがーるず


 二年D組の教室の前まで来て、一度は収まった緊張が再び津波のように押し寄せてくる。

 この扉を開けた先には、これから一年間共に過ごしていく生徒達がいるのか。

 俺は一度深く深呼吸をしてから、勢いよく教室の扉を開けた。

 その瞬間、教室の中にあるバラバラだった瞳が一斉に俺の姿を捉える。

 あちらこちらから浴びせられる視線に耐えながらひとまず教卓まで歩き、そこから一度教室ないを見渡してみた。

 もらった名簿を確認してみると、このクラスは男子十二人、女子二十人の計三十二人。

 慶桜中学校は全校生徒の比較でも女子の方がかなり多いらしい。

 さて、いつまでも黙っていたら変に思われるし、まずは今日何度目かの挨拶から始めよう。

「みんなおはよう。今日からみんなの担任をすることになりました、笹沼謙吾です。よろしく」

 ところどころから「おはようございまーす」やら「よろしくお願いしまーす」やらの声が上がる。

 まだあまりまとまりはないものの、みんな元気はある子達みたいだ。

「先生はみんなと初対面だし、みんなも初めて会う子もいるだろうから、まずは自己紹介から始めたいと思うんだけど……いいかな?」

 一同に向かって聞くと、今度はみんな口を揃えて『はーい』と返してくれた。

「じゃあまずは……出席番号一番の朝倉さんから」

「は、はいっ!」

 立ち上がったのは長い黒髪ポニーテールの……昨日グラウンドで会った女の子だった。