しらたまがーるず


 壇上に立ち、マイクを手に取る。

 改めて見ると、凄い数の生徒が列を作っている。

 当然自分に当てられる視線も相当のもので……俺は緊張で体を震わせながらも必死に声を絞り出した。

「ただいまご紹介に上がりました、笹沼謙吾です。駆け出しの新米なので皆さんには色々とご迷惑をかけてしまうかもしれませんが、僕も皆さんと一緒に日々精進していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします」

 簡単な挨拶を終えて一礼すると、どこからか小さな拍手の音が聞こえてきて、それは次第に大きくなり、やがて体育館は多方から散らばる拍手の音で埋め尽くされた。

 ほとんどは社交事例的なものなのだろうけど、少なくとも歓迎はされているようなので、内心ほっとする。

 その後は校長先生からの話と再び登場の教頭先生による閉会の言葉で締めくくられ、今日の日程は各教室でのLHR(ロングホームルーム)を残すのみ。

 俺も一つのクラスを任される以上、最初の仕事をしっかりとやり遂げなくては……そう思い、張り切って教室に向かおうとしたところを、校長の桜井秀樹(さくらいひでき)先生に呼び止められる。

「笹沼先生、ちょっとお話がありますのでホームルームが終わった後、校長室に寄っていただけますかな?」

 話ってなんだろう。疑問は残るものの、断る理由もないので俺は「わかりました」と言って一つ頭を下げてから、止めた足を再び動かし始めた。