住人さえ、いざ使おうとした時

どこに仕舞ったかさえ覚えていない体温計を

亜矢夏はどこからともなく引っ張り出し

私に差し出してきた




「大丈夫、熱ないから」



と言っても



「インフルエンザだったらどうするの!?」



母親みたいに言ってきた






そんな亜矢夏に逆らう術は持たず

大人しく体温計を受け取った