「亜沙美先輩、すみませんでした」
私が戻って来た事を確認すると
先程、私が主任に叱られてる側で
オドオドしていた後輩がすっ飛んで来た
「大丈夫だから」
胃の中を空っぽにする行為は
意外と体力を使うようで
素っ気ない返事しか出せなかった
「迷惑かけてすみません」
「誰だってミスするんだから、次から気を付ければ大丈夫だから」
思考は覚束ない様なのに
身体は何をしたら良いのか理解しているみたいで
力が入らないものの
机の上を綺麗に片付け早退届けを書こうとしていた
「だから気にしないの。ほら、まだ仕事あるんでしょ」
渾身の力を出して後輩に優しく笑いかけた
「ほんとにすいませんでした」
「午後始まったばかりだけど、定時まで頑張ってね」
後輩はペコリと頭を下げ
自分の席へ戻ると
眼の色を変えて仕事に取りかかった


