あめとてるてる坊主


「花火あるかなぁー」

「夕立だろうし、すぐやむって」


 隣から聞こえたカップルの会話に、顔を向ける。

 不安そうな顔をして空を見上げる女の子に、男の子が声をかけていた。


「心配しなくても大丈夫。花火は上がるよ」


 彼が私に声を掛けてくれた。

 私が不安そうに見えたんだろうか。

 あの女のこと同じ顔をしているのだろうか。

 悲観と後悔は違うはずなのに。