あめとてるてる坊主

「待ち合わせ前に、本屋に寄りたくて。近くに大きな本屋あるだろ?君こそなんで?」

「私も、本屋に……!」


 ほんの少しの接点がうれしくて、私は言っていた。

 言ったあと、自分の言い方が妙に恥ずかしくなってうつむいた。


「そうか、偶然だね。なら、今日も一緒だ」


 じんわりと広がった。

 今日も。

 何気ないその一言が嬉しかった。

 彼に取っても、私とバス停前にいることが、いつもになっていたことが、嬉しくてたまらなかった。

 今なら私は、勇気を持てる。

 かばんの中には入っている。