あめとてるてる坊主

 ねぇ、てるてる坊主。

 私の中の、何かを吹き飛ばして、この空のように清々しいものにしてくれないだろうか。


「こんにちは」


 びっくりして、振り向いた先に、彼が立っていた。

 にこやかに笑う彼は、私の知っている学生服ではなかった。

 心臓が止まるかと思った。

 思いがけず彼と会えたことと、知らない彼の姿を見たことで。

 そして、私はあわてて携帯を両手で包んだ。

 あのてるてる坊主を隠すために。

 秘密のおそろいを知られてはいけない。


「なんで……」


 驚きすぎて、心の準備ができてなくて、うまく言葉が続かない。