あめとてるてる坊主

 私の町である祭りは、私の家からでも少し遠い。

 毎年渋滞していることを知っていたから、早めに出て、近くの本屋で時間をつぶそうと思っていた。

 休日の午後のバス停にも誰もいなくて、でも平日の朝とは違う雰囲気に戸惑った。

 手持無沙汰だった私は、携帯をいじっていた。

 てれてる坊主がゆらゆら揺れる。

 願った通り、広がる青い空。

 山の向こうに白く大きな入道雲が見える。

 こんなに清々しい空の下なのに、どこか私の心は黒く沈んでいる。

 彼と花火を見れることはとても嬉しいのに。

 それ以上に膨らむ何かが怖かった。