あめとてるてる坊主

 そして今日もいつもと違って、傘を差した私の右隣に彼がいた。


 どきどき。


 雨音がなければ、聞こえてしまうかもしれない。


 どきどき。


 彼を盗み見る。そろりそろりと気づかれぬように。


 はたと目に入った、カバンについたキーホルダー。

 ゆらりゆらりとてるてる坊主。

 笑顔を浮かべる、てるてる坊主と目があった。


 彼と私の気持ちもあべこべなのかもしれない。


 なんだか悲しくなった。