あめとてるてる坊主

「里美ちゃん、携帯」

「あー……うん、電話だ。ちょっとごめん」


 一言謝って、立ち上がった里美ちゃんはちらりと沙世ちゃんを見て、店の外に出ていった。

 カランと響いた音。

 私は、何か言わなくちゃと沙世ちゃんを呼んだ。


「沙世ちゃん……」

「……私だってさ、コロコロ好きな人変えたくないよ。1人の人、長く好きになってみたいよー。なんでだろうね」


 そっぽを向いたまま、沙世ちゃんは苦笑した。