あめとてるてる坊主

 反射的に向けた顔。

 目と目が合った瞬間、頭が真っ白になった。


「これ、使って」


 彼の差し出された右手にはタオルが握られていて、受け取ればいいのに、戸惑う私はすぐに行動に移れなかった。

 けれど彼は、焦れることなく、メガネの奥の目を細めて私を見下ろしていた。