私のオレンジの灯りが、ジュッと音を立てて、砂に埋まった。

 次々とみんなの顔を照らす灯りが落ちて、最後に天野君の灯りも消えた。


『俺さ……気になる子がいるんだ』


 そう言った彼に、私は何も言えなかった。


 「誰?」「なんで私に言ったの?」「期待してもいいの?」「それとも……」


 聞きたいことはいっぱいあるはずなのに、せり上がってきた何かは私にその言葉を紡がせてはくれなかった。

 私は、再び聞くことが怖くて、現実だと思い知るのが怖くて、結局私は臆病者だ。





(2)線香花火(完)