バチバチはじける線香花火。

 海辺で遊び疲れたのか、沙世ちゃん達も静かに自分の持つそれを見ている。

 彼の顔も照らされている。

 私は何も言えず、彼を見ていた。

 彼はそれに気づいて、小さく笑った。

 心臓は大きく跳ねて、苦しくて仕方なかった。

 ドキドキは不安でしかなく、泣きたくもなった。


「あ~落ちちゃった」


 沙世ちゃんの声がした。