3分の2ほど花火を消費したころになると、沙世ちゃんと天野君を除く男の子2人は海辺で遊び始めていた。


「濡れないようにしなよ」


 呆れたように里美ちゃんが声をかけている。

 私はバケツに溜まった花火の残骸を袋に入れなおしていたら、天野君が手伝ってくれた。


「あいつら、授業はなくても部活はあるっていうのによ。明日辛くてもしらねぇぞ」


 天野君がおかしそうに、海辺ではしゃぐ沙世ちゃん達を見ていた。


「でも楽しそう」


 私のつぶやきに、天野君が見てきた。


「行ってくる?」

「え……!?いい!夜の海は、なんだか怖くて」


 太陽がいるときはあんなに青々と綺麗な海も、月が顔を出せば、黒くすべてをのみこんでしまいそうだ。

 町から離れたこの海辺は特にそう思えた。