あめとてるてる坊主

「里ちゃん……」


 沙世ちゃんの呼びかけに、目線をそらす。

 でもその視線は、座るように促している気がして、沙世ちゃんの背中をそっと押した。


 テーブルの前に腰かけてから、数分、沈黙が続いた。

 外からかすかに聞こえる雨音に耳をすませる。

 薄暗い部屋の中、私の眼に映る二人は、唇をかみしめ、浮かない顔。

 私の好きな二人の表情じゃなかった。


 その沈黙を破ったのは、沙世ちゃんだった。