優しそうな人だった。

 雰囲気もその顔も、すべてから優しさがにじみ出てるような人だった。


「友達とくると聞いてたんだけど……。私の友達と会いたいって言うから」


 里美ちゃんのすねた顔が新鮮に感じた。


「あはは。里美がこういうの好きじゃないの知ってるから、こういう機会じゃないとね……じゃ……僕はこれで。里美の機嫌がこれ以上悪くならないうちに」


 松永さんは笑うと、里美ちゃんにごめんなと謝った。

 すねた顔のままだったけれど、里美ちゃんは別にいいよと言ったのを私は聞いた。