「先輩……」
「ちょ、苦しいし」
ぎゅーっと強く抱きしめられる。
「初めて名前で呼んでくれた」
「もーいちいち言わないでよ…」
ついつい…
呼ぶつもりはなかったんだけど…ね?
「岡田…離して」
「名前で呼んでくれなきゃ嫌です」
「何それっ」
呼んでって言われると呼びずらいんだよな。
そういうもんだよね?…え?
「もおー…離してー」
「嫌です」
もう何分このままなのだろうか。
結局名前で呼ばないとだめみたいで…
「おかだぁ、」
「そんな可愛い声出しても無駄です。ってか逆に離したくなくなるし」
くそう…こっちも段々意地張って絶対名前呼ばないぞって気になってきた。
「はぁ…仕方ないですね…結亜、名前で呼びなさい」
「……へ?あ…か、翔っ!」
「よくできました」
岡田は私から体を離して頭を撫でてくれた。
てゆうか岡田に名前で呼ばれてしまった…
命令口調だったのが気になるけど…
「えへへ…」
「気味悪いですよ、どうしたんですか?」
「岡田が名前で呼んでくれたのが嬉しくて」
私がそう笑っていうと岡田は顔を赤らめて
「変なところで素直なんですね」
と言いながら顔を逸らした。

