やっと涙が落ち着き始めた頃、みのりのお父さんがまた手を差し出してきた。
その手の上には、真っ黒なオープンハートのネックレス。

「みのりが最後まで身に付けていた宝物。診察するときも、いつでもどこでも外さなかった。でも隣に貝殻も通してあったんだけど、貝殻は燃えてみのりと一緒に空に行ってしまった。」
「あの、貝殻ってこれ・・」
「そう、それだよ。なぜ宮本君が?」
「みのりと海に行ったとき、交換したんです。それぞれ1つずつ探して交換しようってみのりの提案で。そしたら二人とも同じ貝殻を拾ったんです。」
「そうだったのか・・宮本君、このネックレス、持っておくかい?」
「・・みのりに、みのりに持ってもらっていてください。
ずっと持っていてほしいんです、お願いします。」
また涙が出てきた。
「ありがとう。」
そう言うお父さんの目からも涙がこぼれていた。