それからあたしはあたしぢゃないかのように過去の話を始めた。 小さいころは寂しかった 帰る場所、住むところがなくて 食べるものもなかった。 万引きからはじまり、 5万で自分を売った。 さっき泣いたからだろうか、 あたしは涙さえでなかった。 他人事のように平気な顔をして 話す。 佐藤さんはまるであたしの かわりのように涙を流していた。