とりあえずドキュメンタリーのほうが人の心に響くだろうとそっちを取った。



―が、遅刻したら意味ないじゃないか。


そんな暇があったらね♪なんて言ってる暇じゃない。



あたしは足を全力で走らせる。


間に合うか間に合わないか考えている暇はない。



寝坊とは何事だ、と自分を懲らしめる。



顔が必死で誰にも見られたくないかも。



とにかく今日は私のスピーチ以外にも囲碁部や空手部の表彰があるはず。



教頭、どうにかそれで時間を稼いでくれ!!!





「へぃ!会長、乗ってくかい?」



ナンパ口調でさっそうと現れたのは


自転車に乗った常葉飛鳥だった。



我が校が誇れる運動神経を持ち

女子からモテモテのあずさの彼氏、常葉。