ペチっ


先生はあたしの
おでこをはじいた。


「なぁんてな」


先生はそう言ったが
あれは冗談ではないと
あたしにはわかった。

"明葉を愛したい"

そう言った先生の目は
決して嘘ではなかった。


「元気でな、明葉」


「先生もね。いつか
どこかで会えたらいいね」


「あぁ」


「バイバイ」


あたしは振り返らなかった。

花束を持ち、
メッセージカードを
大事に握りしめ、
あたしは学校を去った。



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  バレンタインチョコの
   不思議な力が
  あたしと先生を
 結びつけてくれるとは
  何も知らないまま
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