駆け足で階段をかけのぼる。


安西の書類を拾って時間をくったせいか、校舎にいる人はまばらだ。


もう委員会も終わっているかもしれない。あたしは焦っていた。


けど


「‥‥‥げ‥きだし‥(元気出して)。」


8階についたときに聞こえたその声に、あたしの足はとまった。


あたしの教室に近づくにつれてその音は大きくなっていく。


この声は‥‥‥恵ちゃんの友達の薫(かおる)ちゃん?


薫ちゃんが慰めてるって事は、恵ちゃん、振られた?


「元気だしな、メグ。もう、しょうがないじゃん。」


教室の前で聞こえた声。


「だって大輔くん好きな子いるって言ってたし。それに、その子のしかチョコ受け取らないって‥ね?今日は帰ろ。」


その言葉を聞いて、あたしの体は固まった。