断る理由なんかないじゃん。あんな可愛くて、優しい子。


「いないよ。いるわけないし。」


いないんだ。


「じゃあ、なんで断るわけ?
 理由なんかなくない?」


「‥‥‥」


「ん?なんで?」


突然止まってしまった大輔を見上げる。


「ま−、またな。」


もうあたし達の家の前だった。


あたしの真向いの家に消えていく大輔が、どうして止まったのか、理由はよく分からない。


だけどまぁ、あの大輔にもぃろぃろ悩みがあるのだろうと、その夜ベッドの中で考えた。


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