「もう咲とは別れて。アンタなんかと付き合ってんのが可哀想だよ。
 じゃあ、あたしはこれで。
 もう咲には一切関わらないでよ。」


美紗はカフェを飛びだした。


親友の心を踏み躙ったりょうが許せなかった。


デートするたびに、りょうとの写真を見せる、咲の嬉しそうな顔を思い出すと、心が痛んだ。


今頃泣いているであろう咲に、電話するのはためらわれる。


美紗はため息をひとつこぼした。


さっきまであんなに晴れていた空は、どんよりと曇っている。


まるで、明日からの咲を暗示しているようだった。